【対談】橋野桂×水野良(ロードス島戦記) 新生・王道ファンタジーを求めて | ペルソナ 情報局

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公開 2017年12月07日(木) 20:30 電ファミニコゲーマーに、橋野桂氏と『ロードス島戦記』作者である水野良氏が、ファンタジーをテーマにした対談の記事が掲載されましたので、一部抜粋してご紹介します。 電ファミニコゲーマー
http://news.denfaminicogamer.jp/interview/171207

【『ロードス島戦記』水野良×『ペルソナ5』橋野桂:対談】 ゴブリンを倒していた若者が最終的に世界を救う話は、ファンタジーならではの“純化”である【新生・王道ファンタジーを求めて①】

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水野氏: ファンタジーの良さは何かというと、僕は「純化されてるから」だと思うんですね。 僕の書くことを現代劇でやってしまうと、青臭すぎたりして「そんな現代人なんていませんよ」と言われる部分があると思うんです。 たとえば今、世界を救うために街のチンピラをやっつけようって人はいませんよね。でも、ゴブリンを倒していた若者が最終的に世界を救うというお話は、ファンタジーならできるじゃないですか。 そういう人間の純粋な部分を肯定できるのが、ファンタジーの良さだと思っていて。 現代社会はすごく複雑なんだけど、それを分解して純化していって、それぞれのキャラクターが持っている怒りや正義をストレートに語っても嘘くさくないというのが、ファンタジーの良さなのかなと思うんです。橋野氏: 僕らの結論も、それにすごく近いですね。現代劇では成立しない話をやるために、必然的に架空の世界が必要になったというところで、今、着地できそうかなという感じになっています。水野氏: 楽しみです。純粋ファンタジー支持派なので、僕は。橋野氏: 純粋ファンタジーになるのかどうか、まったく確信がないんですけど(笑)。

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橋野氏: ファンタジー世界って、威厳とかカッコ良さが実際に相手にダメージを与えうる世界なんじゃないかと思うんです。ネーミングのカッコ良さや造型のカッコ良さで序列が決まっている世界に、なんとなくリアリティを感じるというか。 戦国武将の甲冑にも、ワケのわからない飾りがついてるじゃないですか。そんなのがついてたら動けないだろうっていうものを、現実世界でも着ていたわけですからね。魔法を実際に撃てる世界であれば、それは装備しうる強い武器なんだろうなと思うんです。水野氏: やっぱり説得力は大事ですよね。ミスリルという名前だけで、「よし、硬いぞ」って思えるじゃないですか。橋野氏: 本当に武器とか魔法の名前を、どうしようかなぁと思っているんです。水野氏: 魔法は独自の言語体系にするのか、能力をストレートに説明する名前にするかの二択ですよね。『ドラクエ』や『FF』は独自の言語体系だし。橋野氏: どこからが現地の言語で、どこからが記号的につけるべきか、作法がよくわからないんですよ。水野氏: ファイアボールって英語だけど、じゃあこの世界は英語で会話してるの? という話になるじゃないですか。そこであえて日本語にして「火の玉の呪文」とかにするのもアリでしょう。

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橋野氏: エルフってこうだよね、ホビットってこうだよねと、ファンタジー好きの人ならすぐわかるようなことを、そもそも何も知らないので。(「PROJECT Re FANTASY」のイラストを見ながら)エルフが金属の鎧を着ちゃダメだろうとか、そもそも赤毛のエルフなんかいないだろうとか。だからこの副島の絵は要するに、「僕らは何もわかりませんよ」という表明なんです(笑)。水野氏: それはもう、なんでもありだと思いますよ。橋野氏: でも、いろいろ言う人もいるんですよ。水野氏: たしかに火属性な感じはしますよね。耳は尖ってるけど、金属鎧を着てるし、エルフというよりドラゴンライダーっぽいかなぁ。橋野氏: ドラゴンの紋章とかつけちゃってるんで、文法無視もいいところです(笑)。だから調べざるを得なくて。まさか、こんなに調べないといけなくなっちゃうとは、と思ってます。 そうやって調べ始めて、ファンタジー好きの人に話を聞くと、さっき水野さんがおっしゃったように「そんなの気にしなくていいよ」って言われるんです。でもそれがまた、罠のようにも感じて(笑)。水野氏: いやもう、ホントになんでもありですよ。なんでもありの中から、その人のセンスでキチンとふるいにかけられていれば、そこから出てきたものはその人なりのファンタジーだと、僕は思うんです。 フィルターを通さずに何でもかんでも入れちゃうと、さすがに空中分解する危険性がありますけど。 僕の場合は、自分の世界観の中に組み込むための理屈を一応考えた上での、なんでもありにしています。 そういう理由付けを踏まえた上で、なんでもありという部分を大事にしたいなと。

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橋野氏: 今、スタッフと旅をどうやって描こうかというのを考えるために、旅の何が楽しいのかを話し合うと、言うことが全員違うんですよ。 中には「旅の荷物をまとめるのに、パンツを何枚持っていくか数えて、バッグに入れるのがたまらない」と言う人間もいて(笑)。水野氏: パッキングマニアだ(笑)。橋野氏: どこがストレスになって、どこが面倒くさいけど楽しいのかという取捨選択は、ファンタジーをゲーム化する際にとても難しいところだなって、今まさに思っているところなんです。 面倒くさいものをなくそうとしたら、徹底的に排除されていくじゃないですか。そういう意味では自分としては、ちょっと面倒くさいものを作りたいなと思っています。面倒くさい手続きが、後々の感激とかそういったものを生むんだろうなと思うので。コンビニエンスな冒険はつまんないなと。

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橋野氏: お話を聞いていて、ファンタジーというジャンル自体が、「じつはニッチだよ」と言われているような感覚がして(笑)。その意味では、今アトラスがあえてファンタジーをやるというのは、すごくピッタリくると思いました(笑)。水野氏: 鈴木大輔君から「『ペルソナ5』の素晴らしいところは演出力だ」と聞いて、それほど素晴らしい演出力でファンタジーへの回帰を作ってもらえたら、僕は飛びつくだろうなと(笑)。 ゲームの演出力というのは、小説家における文章と同じだと思うんです。そこで成功されている作品を作られているわけですから、扱うテーマがなんであれ、やっぱりそれは橋野さんの作られたゲームとして人々から認知されるだろうし、多くの人にプレイしてもらえるんじゃないかなと思います。橋野氏: これまでの僕らとまったく違うものは作れないし、誰もそれは求めていないとも思うので。この物語やこういうゲーム性は、現実を舞台としてはできないから、たまたま幻想世界を使わざるを得なかった、というものしかできないと。 今、楽しみなのは、これまで伝統的に構築されてきたファンタジーの記号性、武器の名前なり種族なりが、僕らが今作り直そうとすると最終的にどうなるのか、自分でもワクワクしているんです。いろいろ変えることができても楽しいし、意外と元のままだよね、というのでもすごく楽しいし。全文はこちら

【『ロードス島戦記』水野良×『ペルソナ5』橋野桂:対談】 ゴブリンを倒していた若者が最終的に世界を救う話は、ファンタジーならではの“純化”である【新生・王道ファンタジーを求めて①】
アトラスの橋野桂氏は、『ペルソナ3』以降のシリーズ3作品で、プロデュースとディレクションを手がけてきた。高校生のリアルな内面をスタイリッシュな表現で鮮やかに描き出すそれらの作品は、日本で多数のファンを獲得したのはもちろん、世界的にも高く評価されている。近年は「ペルソナ」シリーズとして、現代を舞台にしたジュブナイルRPG...

すごく興味深い対談内容ですが量が多いので、お時間が取れる時にでもご覧になってみてください。副島成記氏と『ロードス』のイラストを担当した出渕裕氏との対談も収録済みということで、掲載されるのが楽しみです!


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