公開 2017年06月10日(土) 16:30 ゲームメディアIGNにて橋野桂氏の特集インタビューが掲載されました今までほとんど語られなかったペルソナ5の話やベルベットルームの住人の話、後半には新規ファンタジーPRGへの思いなどボリュームが多かったです一部抜粋して紹介します IGN Japan
http://jp.ign.com/shin-megami-tensei-persona-5/14275/interview/5
橋野桂に聞く制作秘話と今後の展望
――地方都市から東京が舞台となった理由について教えてください。
「ペルソナ3」も「ペルソナ4」も地方都市だったので、場所を決めた瞬間、高校生がショッピングに行くならこんなところ、商店街はこんな感じ、それで川があって……みたいに地域が限定されていたのである程度作りやすかったんです。でも「ペルソナ5」の「世間を騒がせる怪盗」というのを考えると、地方都市だとなかなかしっくりこない。ちょっと白けちゃうというのがあって、もっとも文化の中心であるとか、情報発信の中心になってるとか――そういう場所を選ばなきゃいけないというのが大きな理由です。「東京の高校生って学校の友達と同じ街に帰らない」最寄りの大きなターミナルに一緒に行くか、全員がバラバラに散って地元のターミナルで地元の子と遊ぶって文化だった。だからリアリティのある東京の高校生活を描くには、東京の全部のマップを作らないとダメだろうし、ユーザーも「東京を描くんだったら、箱庭みたいにして東京のほとんどの主要都市に行けるようにしてほしい」って思うだろうと悩みました。僕は地方から東京に来たんだけど、東京の全部の街って行ったことないんですよ。ただそれでも詳しい街はやっぱりある。仲間や仲間のクラスメイトに「吉祥寺の井の頭公園に行こうよ」って言われたら井の頭公園を知るし、「荻窪のラーメン屋に行こうよ」って言われたら荻窪を知ると思うんです。そういった「人の絆こそが自分の行動範囲を決めていく」というのが「ペルソナ5」らしいし、都会のコミュニティ形成というものをマップからも味わえるかな、と。
――ベルベットルームの住人の名前が「フランケンシュタイン」に出てくるキャラクターの名前なのは何か理由があるのでしょうか。
「フランケンシュタイン」は人格形成の話になってて、生まれたときから怪物だった存在が「自分って何者なんだろう?」っていうユングでいうところの「セルフ」を見つける旅のお話なんです。その「フランケンシュタイン」で描かれている「自分は一体何者なのか?」というテーマは、「ペルソナ」で描こうとしている本流と同じなんですよね。若者が何を正しいと思って、何を美しいと思って進んでいくのかという――そういう自己批評能力を自分の頭で定義するのが、ジュブナイルとしての王道だと思っています。なので「フランケンシュタイン」の世界から自分のイマジネーションの世界、つまりベルベットルームの住人のネームを取ることは筋が通っていると思っていて、ずっとそれに倣っているんです。ベルベットルームのパーソナリティを高くしてしまうと、やっぱり自分の心のなかの人格の記号みたいなものが薄れて、どんどん他人になってしまう気がする。だから、「ペルソナ5」までは掘り下げずにきていますね。人格的にはひとつなんだけど、自分のなかのおばあさん的な知恵が急に働いたり、おじいさんから受け取った言葉が働いたり、ときによってそれはお兄さんだったり妹だったり。自分を見つめるときに響く他人の言葉って、その都度、心のなかで変化するような気がするんですよね。だからすごく不思議であやふやなものであってほしい、という感じはしています。全文はこちら
橋野桂氏インタビュー動画「”王道”には2つの意味があると思うんです」 インタビュー記事も動画も非常に良いものなのでお時間がある時にご覧になることをオススメします。現代劇という枷を外してできる物語「Project Re Fantasy」の方も期待が持てますね!